解散するスーパーグラスは6月10日、バンドにとってイギリスでは最後となるライブをロンドンで行った。
今回のミニ・ツアーのあとに解散することを宣言していたバンドは最後まであとひとつ、そして母国では最後というショーをO2ブリクストン・アカデミーで、エモーショナルだがあくまでもバンドに対して祝祭的なオーディエンスとともに分かち合った。
この機会にあわせてバンドはそのキャリアをくまなく反映したセットリストを披露したが、最近の楽曲から始まってどんどん遡って最後にデビュー・アルバム『アイ・シュッド・ココ』に辿り着くというヒネリの効いた展開をとった。
ライブの前にはバンドが90年代後半のツアーでよく使っていた70年代・80年代の公共広告のアニメで、プロディジーのシングル“チャーリー”のネタともなっていた猫のチャーリーの映像が流されてから、続いては最近のバンドのレコーディング光景のコラージュ映像が流され、“ダイアモンド・フー・ハ・マン”でショーが始まった。
「こんにちは、今日はみんな元気? 本当に今日は来てくれてありがとう。スーパーグラスがUKでライブをやるのもこれが最後だからね!」とボーカルのギャズ・クームスが宣言すると、観客があえて上げていくブーイングに応えるかのようにギャズは「次の曲はみんなのために、ありがとうという意味での曲です。今日はみんながハイになれるといいね!」と断ってから、“レベル・イン・ユー”の演奏へと突入。
その後、バンドがしばらくステージから退くと今度は05年の『ロード・トゥ・ルーアン』をレコーディングするためにバンドがルーアンへ移動する際の映像コラージュが流され、今夜のライブの基本的な構成がだんだん明らかになった。そして、バンドがステージに戻ると、『ロード・トゥ・ルーアン』からの楽曲を紹介した。
同じようにこれに02年の『ライフ・オン・アザー・プラネッツ』の楽曲が、まずは当時の映像を流してから紹介され、“ブレコン・ビーコンズ”や“ファニエスト・シング”などの曲が演奏されていった。
大方わかっていたことではあるが、ソールド・アウトとなったこの日のショーの観客が一番盛り上がったのがこれに続いた初期3枚の楽曲で、ライブはいやがおうなしにもクライマックスを迎えていく。
レントゲン写真的なジャケで有名な99年の『スーパーグラス』からの“ムーヴィン”はこの日の最初の大シンガロング大会を生み出すことに。そして“パンピン・オン・ユア・ステレオ”では観客全員が猛烈な勢いで踊り出していく。
97年の『イン・イット・フォー・ザ・マネー』からのセレクションではこの作品の冒頭を飾るタイトル曲と“リチャード3世”をそのまま演奏して、オーディエンスの興奮はますますヒートアップしていくことに。
“サン・ヒッツ・ザ・スカイ”が演奏されると、いよいよステージは永遠のお別れに近づいていくことになり、『アイ・シュッド・ココ』からの楽曲はまさにそれにふさわしい内容となった。
“シーズ・ソー・ルース”はこの最終セクションの冒頭を飾る比較的静かなナンバーとなったが、ロブ・クームスも加わって“マンサイズド・ルースター”“ストレンジ・ワンズ”“レニー”と続くと会場はすぐに興奮の坩堝と化して行った。
本編が終了してからも、すぐにバンドはアンコールで登場。
「まったくもってクレイジーな17年間だったけど、今日は来てくれてありがとう」とギャズが宣言してから、最近ではめったに演奏されなくなっていた“オールライト”を披露し、最後はギャズとミック・クインとダニー・ゴフィーの3人でバンドの最初のシングル“コウト・バイ・ザ・ファズ”を演奏した。
バンドにとってキャリア最後のライブはパリのシガールで6月11日に行われる。
ダニー・ゴフィーはその後、脱退したアダム・フィセクの代役としてベイビーシャンブルズをサポートすることになる。
セットリストは以下の通り:
'Diamond Hoo Ha Man'
'Bad Blood'
'Outside'
'Rebel In You'
'Tales Of Endurance (Parts 4,5 & 6)'
'St Petersburg'
'Fin'
'Kiss Of Life'
'Brecon Beacons
'Rush Hour Soul'
'Funniest Thing'
'Grace'
'Moving'
'Mary'
'Eon'
'Pumping On Your Stereo'
'In It For The Money'
'Richard III'
'Late In The Day'
'Sun Hits The Sky'
'She's So Loose'
'Mansized Rooster'
'Strange Ones'
'Lenny'
'Alright'
'Caught By The Fuzz'